Insight Blog

ABOUT 2008年10月

2008年10月にブログ「Insight Blog|インサイトの達人 桶谷 功」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

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2008年10月 ARCHIVES

2008年10月09日

ベビーから何を学ぶか?

初めての子供が生まれる日が近づいてきました。

年齢的には、ほとんど周回遅れ(いや2周遅れ?)でパパになるのですが、歳をとっている分、子育ては自分に残された最後のフロンティアという感じで、わくわくしています。

海外旅行が好きで、アフリカや中近東、南米など、世界中を旅してきましたし、ダイビングとか好きなスポーツもしてきました。おいしい料理とお酒を求めて食べ歩きも十分してきました。そう、行きたいところには行ったし、したいこともした。あとは、子育てだけだ(笑)。子育ては、まさに残された最後の秘境という感じなのです(笑)。

で、これだけの秘境を旅するのだから、いろんなことを、いっぱい学びたい。新しい発見や気づきがいっぱいあると、楽しい子育てがもっと楽しくなりそう。

子育てに関わる、今まで全く知らなかった分野のインサイトも発見できるだろうし、何よりもベビーから人間って、どういう生きものなの?ってところを学びたい。
きっと、人って、そもそもこういう志向やクセがあるんだーといった発見をしたい。

また、人がいろんな概念を発見するときの瞬間にも立ち会いたい。
たとえば、赤ん坊が初めて、「自分というものが存在する」という一大発見をするとき。これって、すべての知能や概念のもとになる根本的な発見。

自分の手がぼんやり見えていて、思ったほうに手が移動する。ママの顔が見える。ママという存在があるらしい。そういう様々な情報から、「こうやって見ている自分も、ひょっとしてママのように存在しているのかも?!」って気がつくわけですよね。いろいろな状況証拠から、大発見する。いろいろなシナプスがひとつにつながって、ひらめく、みたいな。

これって、わたしたちが、仕事でアイデアを出すときと同じです。
ジェームス・ウェブ ヤング著 アイデアのつくり方
でも、「アイデアとは、既存の新しい組み合わせに他ならない」と言っていますが、別のシナプスとシナプスがつながるんです。別の回路と回路がつながるんです。そのときに、ひらめいた!って叫ぶんです(笑)。

赤ちゃんにとっては、「自分の手が見える」「ママがいる」という別々の2つの情報がひとつにつながるわけですね。

こういういろいろなことを、子育てを楽しみながら、ベビーと遊びながら、学んでいきたい。その気付きや発見を書き留めていこうと思います。ひょっとすると、一大ヒューマンインサイト(人が誰もが感じている気持ちや感情)を見つけ出せるかもしれません!

2008年10月11日

インサイト実践トレーニング

「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるための、インサイト実践トレーニング

2冊目の本の見本が上がりました。
ダイヤモンド社のスーパー編集者の前澤ひろみさんが、JWTのオフィスまで来てくださいました。

そこで、今回の本で取り上げているワークショップを一緒にやった勉強会仲間15人に本を贈るため、サインをしました。昨日、どういうサインがいいかを考えて決めました。

今夜は、一日出来上がった本を見ながら、ニヤニヤして過ごしました(笑)。

「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるための インサイト実践トレーニング

「ともづわり」という言葉

妻が臨月に入り、いよいよ出産が近づくにつれて眠りが浅くなり、眠そうです。

私と妻は潜在意識でつながっているのか、私まで眠くて仕方ありません。

私は、妻より先に「つわり」が来て、妻に「ひょっとして妊娠してない?」って聞いたぐらい潜在意識がつながっているようなのです。
急に、会社の会議中に、「うっ」てきたわけです。吐き気がするけど、吐けない。空吐きする感じ、わかりますか?

うそだと思うでしょー。それが、本当なのです。

実は、これは昔からあることらしく、「ともづわり」という言葉があるそうです。1000人に3人ぐらいは、男も気持ちわるくなったりするそうです。

2008年10月15日

自分の脳をインサイトする

(脳ほど素敵なものはない VOL1)

脳は、それはそれは素敵なものです。
限りない能力を持っています。

自分の脳の能力を、どこまで引き出すか?
仕事においても、自己実現においても、それが全てと言っても過言ではありません。

どう、自分の脳を気持ちよくしてあげれば、能力を発揮するのか?
どうやれば、がんがんやる気が出るのか?
そして、すっごいアイデアが欲しいとき、脳にどうアクセスすれば、出てくるのか?

脳の仕組みと、クセを知れば、楽しくすごいことができるようになります。
このブログのカテゴリーでは、自分の脳をどう活かすか、をお話していこうと思います。


インサイトの落とし穴

ネガティブな気持ちを増長するインサイトは、失敗します。
インサイトは、人の考えや行動に影響する強いものだけに、ネガティブなインサイトを突くと、目指していることと全く反対の方向に人を動かしてしまいます。そういう例をいくつか、ご紹介しましょう。

①「ベータ VS VHS」戦争のときのソニー

「ベータマックスはなくなるの?」という問いかけの広告をソニーが仕掛けた。「ベータやばいんじゃないの?」という消費者の気持ちを見事に突いた。そして、「ベータはやっぱりなくなるんだー」という気持ちを強化してしまった。
人々は、この広告を見て、VHSに走り、ソニーのベータは急失速していった。
そう、広告で、いくら「そんなことはありません。ベータのほうがいいんです」と最後に言ったとしても、人はそうは思わない。
既に自分が思っていることに引き寄せて理解する。
結局、この広告は、人々のベータへの不安をかきたてただけだった。


②セガ 

「セガは、倒れたままなのか?」新聞広告に突然現れた、戦に負けて倒れた武将たち。
TVCMでは、「セガって、だせえよなー」「プレステのほうがおもしろい」と子供たちに言われてしまい、奮起する湯川専務。

人々の気持ちを逆手に取ったつもりでも、実は、そのまま受け取られてしまう。
そう、セガはやっぱりダメだから買ってはいけない、と。ゲーム機は売れているブランドにゲームソフトが集まるから、売れていないゲーム機を買うのは非常にリスキーだ。

このキャンペーンのあと、セガは家庭用ゲーム機市場から撤退することとなった。


③エア・ドゥ(AIR DO)

東京~札幌間に特化した、格安の航空会社AIR DOのキャンペーンも、世論を味方につけようと「AIR DOをつぶせ!」というキャッチフレーズで、大手航空会社のやりかたを批判している。

まあ、新しいビジネスをつぶそうというやりかたを批判することで、応援を求めるというのはありだと思うが、一部の消費者からは、「つぶれかけの会社の飛行機に乗るのはコワイ」という声が出たのも事実だ。AIR DOは今もあるが、もっとポジティブな本質的なインサイトを突くべきだったと思う。

(参照文献:山本直人著「売れないのは誰のせい?新潮新書)


ほかにも、いろいろあるので、次の機会にご紹介します。

2008年10月16日

ソーシャル・インサイト1

ソーシャル・インサイトとは?
マーケティングの世界で使われてきた「インサイト」の考え方を、社会的な問題にも使えないだろうか、という試みです。

マーケティングで言う「インサイト」は、正確には、「消費者インサイト」。
人々が、モノを買ったりサービスを利用したりするときの、隠された動機やニーズ、感情など。わかりやすく言えば、心の奥底にある「ホンネ」です。

マーケティング活動は、製品開発も広告キャンペーンも、インサイトという「消費者が思わず買ってしまう心のホットボタン」を押すことですが、この考え方を社会問題の解決にも役立てられないだろうか、と思い立ったわけです。

例えば、少子化の問題を取り上げてみましょう。
政府は、膨大な調査結果をもとに政策を決定していますが、どうもピントはずれだと感じることはありませんか?
子育ての経済的負担が大きくて、それが子供をつくらない最大の問題だ。だから助成金を出せば、子供をつくるはず。
あるいは、働きながら子育てするのが大変だから、子供をつくらない。だから、保育園をつくれば解決する。本当に、そうだと思いますかー?

調査をしているのに、こういう短絡的で的を得ていない結論に至るのは、なぜでしょう?
それは、定量調査のデータに頼り、表面的にしか見ていないからです。人々が、どういう気持ちでいるのか、ホンネは何なのか、実感を持って解釈していないからです。

もし、ターゲットの女性のホンネ(=インサイト)がわかったとしたら。
子供をつくりたいとは思わないのは、どういう気持ちが潜在的にあるからか?子供をつくりたいけれども、躊躇しているのは、どういう心理的なバリアがあるからか?そもそも、結婚しないのは、どういう気持ちの表れなのか?

こういうことがわかれば、「子供がほしい」とか「子供をつくろうかな」と思う、心のホットボタンが見つかります。そして、この動機付けのボタンをどうやったら押せるか、政策を考えていくことができます。

ブログのこのカテゴリーでは、インサイトという考え方を使って社会問題を解決できないか、にチャレンジしていきたいと思います。
近いうちに、勉強会やワークショップを開いて、みんなで話し合いたいと思っています。あるいは、ネット上でも話し合いができるかもしれません。

そして、いずれは政府首脳へコンサルティングを行う、あるいはマスメディアなどを通して働きかける、といった具体的な活動に結び付けたいと思っております。

ご興味のある方、ご協力いただける方は、ご案内を差し上げようと思いますので、ぜひメルマガにご登録ください。楽しみにしております。

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2008年10月18日

「インサイト実践トレーニング」発売!

「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるための インサイト実践トレーニング

10月17日、発売です!
いやー、苦難の道のりでした。最後は、子供の誕生前に書き上げるぞ!という意気込みと、ダイヤモンド社のスター編集者の前澤さんの叱咤激励でなんとか、出来上がりました。

今年の年始に、二期倶楽部で1年の計をたて(笑)、まずは勉強会のメンバーとワークショップをやろうと決めました。
そして、決めたら実行あるのみと2~3月にワークショップを実施。そこまでは、よかったものの、どういう本にするか、そもそもこの本はどう人の役に立つのかという根本的なところで悩んでしまい、足踏み。

執筆が軌道に乗り出したのは、ゴールデンウイークから。完全に、休みはぶっ飛びました。連日、15時間執筆という状態(泣)。実は1冊目のときも、正月をぶっ潰して、なんとか結婚式までに書き上げた、という経緯があるので、これは一種のパターンなのかもしれません(笑)。

その後、勤務先のJWTでの仕事が、異常に忙しくなり何をどこまで書いたのかも忘れるぐらい、放ったらかしに(笑)。このままでは、出来上がらないと悟り、毎日30分づつでも書く態勢に変更。(そう、今年は千里の道も一歩からをテーマにしてました。)お盆休みに、何とか書き上げ、その後、バトンを受け取った前澤さんが、不眠不休の徹夜状態で編集を。お疲れさまでした。ありがとうございました。

勉強会で一緒にワークショップをした15名のメンバーが、「本は、いつできるんだろう?」って気にしているんだろうなあと思うと、「何がなんでも、やらなきゃ」と、力が湧いてきました。みんな、本当にありがとう。

(ちなみに、前澤さんは、2007年度のNO.1 ビジネス本の編集者です。すごくいい本なので、お薦めです。)
世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく


「インサイト」の翻訳本、韓国で好評!

「インサイト」の韓国語訳が、8月に発売されていたのですが、韓国でけっこう話題になっているようです。

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私は、残念ながら韓国語がまったくできないので、本を見て嬉しいものの、どんな出来栄えなのか全くわかりませんでした。韓国の出版社との交渉にあたっていただいた、ダイヤモンド社の担当の方からの「なかなか、いい出来に仕上がってますよ」という言葉を信じる以外にありませんでした。

その後、韓国の出版社から何冊か本を送ってもらったので、それを仕事関係(クライアント)の韓国の方2名にお贈りしました。
あるグローバル企業(US本社)のマーケティングマネージャーの方と、グローバル企業ですが日本本社の商品開発部門の方です。

そして、読んだ感想をいただいたのですが、「丁寧に訳されていて読みやすく、いい本に仕上がっている」というお話でした。しかも、韓国語でインターネットを検索してみたところ、いろいろなサイトやブログで取り上げられていて、どれも好意的な評価だということでした。
韓国からも講演の依頼が来るかもしれませんね、という嬉しいお話まで伺い、近いうちに必ず韓国に行くぞ!と勝手に決めました(笑)。

(でも、脳のクセから言って、行くと決めると、行ける確率が上がります(笑)。脳が、韓国に行くという指令を受取り、いろいろ考えてくれるからです。じゃあ、韓国の出版社や訳者にメールを出してみようという気持ちに私がなったのも、私の脳が指令を受けて思いついたのだと思います。)