「おむつ、替えるよー」
言葉で言っても、赤ん坊には理解できませんね。
でも、いきなり服を脱がされて、おむつまで脱がされたら、赤ん坊もびっくり。
大人だって、いきなりパンツ下ろされたら、びっくりしますよね(笑)。
やっぱり、心の準備が必要だし、先に知らせて欲しい。
こういうとき、どうしたらいいか?
そこで妻が考え出したのが、言葉以外でコミュニケーションをとる方法。
この「おむつ替え」の場合でいえば、こんな感じです。
「おむつチェック、おむつチェック、おむつチェック、しーましょ」と言いながら、両足をもって、交互に上下させる。右足上げて、左足上げて、右足上げて、を交互にしながら、歌う。
これを繰り返していると、そのうち、言葉はわからなくても、両足を持たれて交互に上下されると、そのあと服が脱がされることがわかってきます。
要は、合図みたいなもの。そして、この合図と行動が「ひも付け」さられると、「合図」だけでいまからする「行動」が、伝わるようになります。
これって、広告などでいう、「コミュニケーション上の資産」と呼ばれるものと、かなり近い。
例えば、サントリーの伊右衛門のコマーシャル。
久石譲さんの音楽が聞こえてきただけで、「あ、伊右衛門のコマーシャル」ってわかりますよね。それは、脳の中で、この曲と商品が結びついて記憶されているからです。
さらに、この音楽から、京都の老舗のお茶屋さんが目に浮かんできませんか?音楽から、ビジュアルまで連想される、すばらしいブランド資産です。
こういう音楽の資産があると、ラジオCMなど音声だけの広告でも、まるで「映像も見ている」かのように、京都の景色が蘇ってきます。
他にも、「白い犬」が出てきたら、「ソフトバンク」とわかりますよね。
何か、お得なサービスを知らせてくれそうです。
古いところでは、「小便小僧」が出てきたら、サントリーの「ダカラ」とか。
これも、「カラダの余分なものを外に出す」という製品特徴を伝える「シンボル」になっています。
このように、ブランドとセットで記憶されている「映像」や「音楽」、「シンボル」などがありますが、これらを、コミュニケーション上の「ブランド資産」と呼んでいます。
これらを多くつくる、あるいは強いものをつくるほど、ブランドは強くなっていきます。連想ゲームが働くようになり、コミュニケーションがどんどん効率的になっていきます。
逆に、こういう資産がないCMは、いちいち全編を注意深く見てもらわないと、何のCMだったかわからないし、記憶にも残りにくい結果になります。
音声がらみでは、「音楽」のほかにも、サウンドロゴと呼ばれる「お口くちゅくちゅ、モンダミン」みたいな歌い込みで、言葉の記憶を強化するやり方もあります。
「おむつチェック」の歌い込みは、まさにこれと同じ方法です。
この歌を聞いただけで、(言葉の意味がわからなくても、)ちゃんと、おむつ替えが始まることを連想できるようになります。
ほら、「おむつを替えますよー」という伝えたい内容が、ちゃんと伝わりました。
マスコミュニケーションの手法は、こんな身近なワン・ツー・ワンのコミュニケーションにも使えるようです。
コメント (1)
あけましておめでとうございます。
今日のお話、中小企業には活用できそうな内容で、ありがとうございます。
ある合図によって、商品・サービスが連想できることができれば、結果的に節約型広告につながる重要なことですね。
投稿者: 高梨幹也 | 2009年01月04日 19:08
日時: 2009年01月04日 19:08